かつては大晦日にはお寺で除夜の鐘を突き、その足で今度は神社に詣でる日本の正月風景がありました。
さてこの神社とお寺のマーク(地図記号)を覚えていますか?
地図記号で、神社は⛩(とりい)で、お寺は卍(まんじ)です。
けれどもお寺の参道入り口にも、鳥居は多く見かけられます。
まず鳥居の起源を探ってみると、各説いろいろありますが、伝説的には天照大神が天岩戸にこもられたとき、世界は暗闇になった話はよく知られるところで、その岩戸の前でいろいろな手立てを尽くし、
何とかそこから出てきてもらおう(再生)とするにぎやかな宴会があり、明け方まで振る舞いが続く中で、「常世の長鳴鶏(とこよのながなきどり・・ニワトリの古称) が鳴いて暁を告げたので、
岩戸を開けて出てこられた。
このような言い伝えから、その後、神を祭る施設の前には必ずニワトリの止り木をしつらえること、つまり字のごとく「鳥居」になったと云う話です。
けれども、インドの古代遺跡サンチーの仏塔の入口の門を「トラーナ」と云い、実にこれが鳥居そっくりの形です。(図1)
また、韓国の民俗資料館で見かけた鳥居の原型といわれるものはまさに止り木そのもので、神のお使いである鳥を留めるところとして、家々の庭先におく風習があったようです。(図2)
鳥居の大きな機能は「結界」であり、領域の境目を表すもので、これをくぐることから、「通り入る」を縮めて「とりい」となったなどとの諸説もあります。
次にお寺の卍(まんじ)ですが、この印はヒンドゥー教で瑞兆、あるいは吉祥など、「良い兆しを象徴」する印として用いられていたようです。それが広く認知されていたこともあり、
特にインドでは仏教寺院の象徴として多用されています。
仏教の伝来時に、その印としての卍も伝えられたと思われます。また、卍は太陽の輝きを象徴しいるということで、寺院の屋根瓦の軒丸などに寺紋として掲げられました。
最近の若者言葉でこの卍が多用されているのをご存じですか?驚きや感動を過度に表すようなとき、特にメールなどの記号言葉として使われています。
マジ卍・・本当に楽しい!・本当にきつい! 語尾に意味もなくつける・・やったね!卍
図1 サンチ―仏跡は紀元前のインド最古の仏塔 図2 ソウル郊外の韓国民俗村
出稿:日本葬祭アカデミー教務研究室 二村祐輔 ※無断転写を禁ず
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