◆通夜振る舞い
お葬式における飲食は、いまでは接待や慰労の意味が強く、本来の「共食」意識が亡くなりました。通夜振る舞いに案内されたら、遠慮なく席につきましょう。
字のごとく、「振る舞い」とはしみじみいただくことではなく、そこにはにぎにぎしくする意味もあります。
通夜の飲食は参列者の数がなかなか予想しづらく、多くは盛り込みの料理で出されます。
最近は車で来訪される人も多いので、飲酒は差し控えられますが、いわゆる「清め酒」のつもりで、持ち帰りのできるような小瓶で出すところもあり、帰宅後「お淨め」していただければと思います。
昔は(昭和時代)は、「葬式饅頭」や「らくがん」(砂糖を固めたお菓子)が結構、うまかった思い出があります。草色と白い餡入り饅頭や蓮の花をかたどったらくがんなどを懐かしく感じます。
最近は和菓子の老舗もリバイバルで仏事用の和菓子を提供し始めています。多人数での飲食がはばかられる世相ですので、そのような「お持ち帰り」の接待もいいのかもしれません。ただし、食品なのでものによっては返品が効かないことも多いので、その点を確かめておくとよいでしょう。
◆精進落とし
お葬式や火葬場でのお骨上げ、またその後繰り上げての初七日忌法要などすべてが一通り終了した後、宴席としての飲食のもてなしがあります。一般的に「精進落とし」あるいは「お斎(おとき)」また「仕上げ膳」など、地方通称がこれぞれ異なります。
本来の精進とは49日忌法要をすませた、いわゆる忌明けの会席ですが、現代はそれをp繰り上げたという意味でこの宴席名称になっています。
これまでの謹慎を解いて日常へ復帰するための飲食ですから、「ご馳走」を食べます。
これは人数の確定がある程度できる宴席ですので、あらかじめ予約や手配をしておかなければなりません。その際、2,3名の不確定者がいる場合、便宜として「お持ち帰り仕様」にしておくと無駄がないでしょう。万が一それが確定になれば、正餐を提供して遺族はその予備を食すればいいのです。
また位牌や遺影・遺骨をその席に安置する場合は、「陰膳」もお忘れなく。
出稿:日本葬祭アカデミー教務研究室 二村祐輔 ※無断転写を禁ず
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