高齢の親を抱えている人は、親が元気なうちに実家の片付けをしておく必要があります。
いつ何時、介護や看病を始めることになるかもしれません。
いざという時の通帳、印鑑の所在や保険証、服薬品などの把握をしておくことや、不要なものを捨てて、居住スペースを広くしておくことはある程度必要です。
それは高齢者である親の「生活の安全」を図る上でも大切なことです。
戸棚の中や冷蔵庫には、大量の賞味期限切れの食品が入っていませんか?
そのためには「片付け計画」が必要。
取り掛かりの期日と期間を決めて始めましょう。期間が許せば1年がかり、あるいは半年でできるのなら最高です。
手段としては、大きめの糊つき付せん(ポストイットなど)を3色(たとえば赤、黄、青)くらい揃えて、とにかく身の回りの大きなモノから仕分けしてもらうことです。
赤は捨てても良いモノ、黄色は思案中、青はどうしても残しておきたいものなど、まずは動かさなくてもいいので、それを至る所に張ってもらうことから始めましょう。
黄色の思案中は、あとから別の色で「人にあげてもいいモノ」を、その中で選り分けてもらいます。また青はその後、黄色から赤になることもあります。
とにかくそこらじゅうのものというものにすべて張ってもらうのがポイントです。
モノにはいろいろな思い出があります。焦げ付いて使い物にならなくなったフライパンでも、両親にとっては新婚時代の貴重な思い出のものです。
はたから見たら全く価値のないものもたくさんありますが、そこは徐々に「あきらめさせる」ことも必要です。
古い手紙類なども多くあります。衣類も寝具なども結構かさばるものですし、人にあげられそうなものではありません。
仏檀なども家によっては大きな「家具」でもっとの大切なものですが、最近ではコンパクトのものに買い替えるなどしている人もいます。
なかには仏壇の中に古いものを含めて沢山のお位牌が鎮座していることもあります。
そのようなときには、お位牌に書いてある戒名や裏側の俗名や享年などの記録を取って、お寺で「一つにまとめてもらう」と良いでしょう。
複数のお位牌は何らかのご縁があってそこに祀られてきたわけですので、「○○家累代」または「○○家諸霊位」等々、一本にしてもらいます。
これを「勧請集約」と私は言っています。
つまりお位牌の各霊位を勧請(お呼び立てして移動してもらう)し、一つの「止まり木」に集合して収まっていただくという意味です。
生前整理のコツは、両親が安心できることから始めると、それを突破口に身辺整理が進みます。
出稿:日本葬祭アカデミー教務研究室 二村祐輔 ※無断転写を禁ず