お葬式が「葬儀」と「告別式」という二つの「異なる目的」のものから成立していることから、あらためてその進行の仕方に工夫されたものが見られます。
お葬式を考える「知恵」として知っておくとよいでしょう。
◆最小限しなければならないことは
葬儀のなかの遺体にかかわる手立ては、誰もがしなければならない最小限の対応です。
・納棺(ひつぎに納めること)
・霊柩搬送(しかるべき車両で火葬場へ搬送すること)
・荼毘に伏す(火葬場で火葬し、拾骨すること)
この三点は、遺族が必ず行わなければならない葬祭対応の実務です。これを私たちはどんな場合でも、「葬儀社」に委託しています。ですから事前の葬儀社選択は誰にとっても大変重要なことだといえます。
◆新しいお葬式の提案
①葬儀のみを行い告別式は辞退しましました。・・・直葬対応+宗教対応
事例1:高齢で世間的なつながりから疎く、近親者も少ない。僧侶の読経と納棺のみで火葬してもらう。(最小限の要素を満たせば立派な葬儀です。)
②葬儀は近親者のみ、後で告別式を行いました・・葬儀(遺体と宗教対応)+告別式
事例1:老親の実家と喪主の家が離れているので、葬儀のみ行って後日、近隣や会社、友人等に連絡し告別式を行いました。
この告別式は社会的対応なので特に宗教式ではなく、遺影のみ掲示し、故人が常連だった居酒屋さんで、「偲ぶ会」を開きました。(会費制)
事例2:高齢女性で普段から「死に顔は人に見せたくない」という希望があり、葬儀は近親者で済ませました。
火葬後の当日、属していた教会で遺影を安置し、追悼式典(昇天感謝祭)を施行しました。(前火葬方式)
事例3:米寿を迎え、いつお迎えが来るとも限らないので、「生前感謝の会」を催し、人生の区切りを付けました。
近隣や人とともに会食して楽しい思い出としました。いわば告別式の前倒しです。
◎4年後の逝去は、近親遺族の身で「葬儀」を執り行い納骨しました。
生前の会に出席していただいた方々にはかねてより宣言してありましたので、事後通知で報告しました。
③葬儀・告別式を「夜」に、通夜とともに済ませました。
事例1:訃報連絡の際、「弔問や会葬」を夜の時間のみに限定して連絡し、当日、通夜兼「お葬式」(葬儀・告別式)としました。翌日は近親者のみで火葬場へ赴きました。
最近のお葬式では、通夜会葬の方が、翌日の式よりも多いのが普通です。ならば夜に「お葬式」を行えば1回で済みます。
惰性的で形骸化した葬式進行は、そこに無駄な経費も掛かります。
葬儀社との事前相談、訃報連絡の工夫などによって、夜なら出棺時間などを気にすることのない落ち着いたお葬式ができます。
出稿:日本葬祭アカデミー教務研究室 / 二村祐輔 ※無断転写禁ず