◆いわゆるお布施について
お葬式の多くは仏教作法に順じてなされることが多く、導師(葬儀の司祭僧侶・住職など)に差し上げるお布施はわかりにくいものとされています。
布施自体は「お気持ち」あるいは「喜捨」という言い方もされるように、本来金額を定めて「定価表示」を明確にすべきものでもありません。
昔ながらの寺壇関係の慣例や余韻がいまだに現存しているなかで、檀家は、寺を維持していく責務を分担するものという意識も強くあります。
このため責任説明のないまま一方的な要求を強いられる不満や不信を感じる人もいます。
これからは、できる限りその支払いに関して、納得のできる説明を受け、それによって支払いの価値を見出して「お包み」すべき時代です。
◆いわゆる戒名について
宗旨・宗派によって『戒名』の解釈は異なり、『法名』や『法号』というところもあります。
一般的に『院号』や『位号』のランクなどは、かつて『家』や『故人』のステイタスを表象する一面もありましたが、価値観の移り変わりから「戒名不要」とする意見もあります。
最近では、自分の気に入った文字や字面を希望する人もいて、その捉え方は多様です。
伝統と文化は時代によって変化しますが、生前に自分が納得していただいておく『逆修』(ぎゃくしゅう、生前の戒名授与)もあります。
【ポイント】
いわゆる戒名は自分自身の死後ネーム。自由に考えておくのも生前対応の一助かもしれません。
ただし作法的には供養司祭者(菩提寺住職)から『授与』されるという形をとります。
ですから自分でつけたからといって「ただ」ということはありません。
菩提寺とのおつきあいはかつて「家」単位でしたが、いまでは「私」がどうしたいのか、が重要です。
次世代にまで連なる関係性ですので、今一度、その継続の価値を納得のいくように理解しておきたいものです。
とくに不定期の寄付の強要や高額のお布施、一方では「離檀料」の請求トラブルもあり、今後ますます寺院との関係性が問われていきます。
日本葬祭アカデミー教務研究室 / 二村祐輔 ※無断転写禁ず