葬儀マナー

葬式と作法 訃報

お葬式は地域社会にとって公的行事でした。ここは過去形です。

最近では、内々の近親者のみで密葬のようなお葬式を営む人が増えています。

それを「家族葬」とか「直葬」と呼んでいます。

『死』は決して「個人的」なものではなかったはずです。

社会生活を営んできた以上、それは社会的な『死』であることを忘れています。

新聞社など広報機関では、一定の社会的立場を基準に、死亡の公示を記事として出すことになっています。

黒枠の訃報欄に記載されるものは、遺族の要望から有料で取り扱うもので、死亡公示記事とは異なります。

これも地域により今でも盛んなところもあり、葬儀委員長のみならず、友人、親族一同が名前を連ねて大きなスペースを占有する紙面もあります。

もし、三大紙といわれる新聞の全国版で、このような個人的な訃報を記載するとそれだけでも、千万近くの費用がかかると思います。

さておき、この「訃報」とは一体何でしょうか。

いまでも地方に行くと「告げ人」と云う地域の葬送役割が現存するところもあります。

二人一組で、近隣、地域共同体内の一軒一軒に訃報を知らせて歩きます。

また葬儀日時などが記された紙を渡してきます。

電話やFAXが普及した今でも、この風習を行なっているのは、それが単なる連絡ではなく、「儀礼」としての意味がそこにあるからに違いありません。

『死』と云う事象はその共同体にとって、たいへんな危機感を持たせその対応にあたってきました。

たとえば「村八分」という言葉があります。八分ですから、その残りの二分を火事と葬式においています。

つまり人の死は日常とは異なるお付合いで、そこには霊魂に対する畏怖が関係していると思われます。

ですから、村八分などといっておられません。いち早く、確実に、その対処を迫られます。

ですから訃報連絡も重い役割のものです。また、その連絡の一つに『寺行き』と云う習俗もあります。

これは訃報を真っ先にお寺に知らせに行く人ですが、たいてい米を持参するような習俗とともになされていたようです。

そのような慣習の意味には、米の穀霊に死者の魂を託して、故人の霊魂をいち早く寺に連れて行くという意図があるなど、諸説あります。

告げ人や寺行きなど、これら二人一組の意味合いは、よく解明されているわけではありませんが、霊威の恐れを感じていたのかもしれません。

そのため、どうしても一人で行く場合には、腰に鎌など刃物を携えていくなどの慣習もありました。

出稿:日本葬祭アカデミー教務研究室 / 二村 祐輔 

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